転々、を観た(NK)
三浦友和(福原)が借金取立て、オダギリジョー(ふみや)が取り立てられる大学8年生、ふたりが東京を散歩する、と書くとわけのわからない筋だが、筋やバックストーリー的なものもよく作られている印象で面白い。いろいろな見方があるだろうが、これは家族を描く話、とも見ることができる。
三浦友和の福原は実は妻を殴り殺したばかりで、自首するために警視庁まで歩いていく。歩く理由、ふたりで行く理由もまああるのだが省略。ロードムービー的だが吉祥寺近辺から隅田川のほうまでいって桜田門まで戻ってくるだけの狭い範囲ではある。その間に、ふたりのこれまでの人生がざっとわかってくる。ふみやは本当の親に育てられていないとか、福原の妻はスーパーのパートだとか。かかわる場所にも行くが、下北沢のコスプレ地帯なども出てくる。それぞれが歩んだ場所やいってみたかった場所など探しながら歩く。その中で偽の家族を演じたことがある画家も出てくる。意味もなくギターを弾きながら歩く男も出てくる。しかし、最後に福原の偽の妻でもあるまきこ(小泉今日子)が出てきて、そこで偽というよりも2番目の妻として、ふみやを息子にし、まきこの姪を娘とする家族が一瞬できる。そのときカレーライスを食べる。
面白い「小ねた」はほかにもてんこ盛りだが、この瞬間的家族の構成が、ひとつの目的だったように見られる。4人でカレーを食べるという何の変哲もない瞬間に、ふみやは泣きたくならざるを得ない。それは自首の日が来たことを意味するからだ。ロードムービーとはいってもその行った場所そのものが大事とはいいがたい。その裏にある風景、ひとりひとりが持っている風景が大事だ。そして、そこにさらに意味を持たせるのが、個々人ではなく二人、三人でいることそのものだということだ。それは血がつながっているから家族になるのではない、家族になろうとしてなるものだ、とすら言い得る「本質」を感じさせる。ふみやにとってのジェットコースターの意味、それを福原をおやじと呼びつつ乗る意味、そのような描き方がうまくできている。
福原の妻が勤めていたスーパーの3人は狂言回しのみに徹するが、それが映画としてのどきどきさにもかかわるという裏技まで、「先に発見されたら自首にならない」の一言で意味が強まる。小泉今日子が「生まれ変わってもかばになりたくない」というような意味での一言の強さも出てくるが、関係性の中に意味を持たせる(村上春樹用語だけど)という観点から、せりふとぜんぜん関係ない場所で起こるシーンとの組み合わせを見せていく手法はうまいとしか言いようがない。たった一言で3人の狂言が全体にサスペンスを生み出すのだから。
三浦友和の福原は実は妻を殴り殺したばかりで、自首するために警視庁まで歩いていく。歩く理由、ふたりで行く理由もまああるのだが省略。ロードムービー的だが吉祥寺近辺から隅田川のほうまでいって桜田門まで戻ってくるだけの狭い範囲ではある。その間に、ふたりのこれまでの人生がざっとわかってくる。ふみやは本当の親に育てられていないとか、福原の妻はスーパーのパートだとか。かかわる場所にも行くが、下北沢のコスプレ地帯なども出てくる。それぞれが歩んだ場所やいってみたかった場所など探しながら歩く。その中で偽の家族を演じたことがある画家も出てくる。意味もなくギターを弾きながら歩く男も出てくる。しかし、最後に福原の偽の妻でもあるまきこ(小泉今日子)が出てきて、そこで偽というよりも2番目の妻として、ふみやを息子にし、まきこの姪を娘とする家族が一瞬できる。そのときカレーライスを食べる。
面白い「小ねた」はほかにもてんこ盛りだが、この瞬間的家族の構成が、ひとつの目的だったように見られる。4人でカレーを食べるという何の変哲もない瞬間に、ふみやは泣きたくならざるを得ない。それは自首の日が来たことを意味するからだ。ロードムービーとはいってもその行った場所そのものが大事とはいいがたい。その裏にある風景、ひとりひとりが持っている風景が大事だ。そして、そこにさらに意味を持たせるのが、個々人ではなく二人、三人でいることそのものだということだ。それは血がつながっているから家族になるのではない、家族になろうとしてなるものだ、とすら言い得る「本質」を感じさせる。ふみやにとってのジェットコースターの意味、それを福原をおやじと呼びつつ乗る意味、そのような描き方がうまくできている。
福原の妻が勤めていたスーパーの3人は狂言回しのみに徹するが、それが映画としてのどきどきさにもかかわるという裏技まで、「先に発見されたら自首にならない」の一言で意味が強まる。小泉今日子が「生まれ変わってもかばになりたくない」というような意味での一言の強さも出てくるが、関係性の中に意味を持たせる(村上春樹用語だけど)という観点から、せりふとぜんぜん関係ない場所で起こるシーンとの組み合わせを見せていく手法はうまいとしか言いようがない。たった一言で3人の狂言が全体にサスペンスを生み出すのだから。
3 Comments:
これおもろしろそうだね。全然気にしていなかったけど。
それにしても、小泉今日子はすごい役者になっちゃったねぇ。俺たち学生の頃はただのアイドル歌手だったのに。
三浦友和は、たまたまロンドンへ戻るときの飛行機のなかで「続 三丁目の夕日」と「陰日向に咲く」の両方にも出演していたけど、この人も面白い人だねぇ。
オダギリジョーは結婚生活うまくいっているんかね?
「へんなおじさん」向けの映画かも・・。オダギリジョーの私生活は知らないけどどうなんでしょうね。三浦友和ってニュートラルってのか、色が薄い分やくざにもなれるんだなぁ、って感じでいい配役だったかも。
先日、何かのインタビューサイトで三浦友和が出ていて、この映画のことも少し語っていた。それはともかく、今、このブログを読み直して思ったんだけど、カレーライスの意味って、深いね。あれはインド料理のカレーじゃだめなんだよな。やっぱり「ハウスバーモンドカレーだよぅ〜」風のカレーじゃないとね。日本人の「家族の風景」の原点があるんじゃないだろうか。あの、カレーライスに。
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