だってBだから

へんなおじさんたちのブログ。

Sunday, August 10, 2008

映画を5つ観たがあまり心に残っていない(NK)

ナルニア物語 カスピアン王子の角笛
最初の物語はそもそも突然その世界(氷の女王が支配するナルニア)に投げ込まれて、落ち着かない次男が敵側に行くなど非常にうまくできた話だった。そのうえルーシーの魅力は炸裂(もっとも小さい女の子)。ところが、ここでは、次々と常識的な話が持ち込まれてしまうので、舞台が想像の範囲内であり、ルーシーはまあだいぶ年をとったといえ子どもの側を演じるが、上のふたりはこれが卒業旅行となることが示唆される。
カスピアン王子が吹く角笛は4人をロンドンの地下鉄の駅からナルニアに引き戻すが、カスピアンはすでに10代目の人間の王。人間たちはどこか次元の穴から出てきて住み着き、動物やらナルニアの民を森に追い出し(神話の世界にしてしまい)、人間同士で争っている。つまり設定が人間の政治やらに直結しており(シェークスピア時代の雰囲気で)、長女の恋がちょっとした色をつけることでさらに普通の映画である。きれいな絵はあるが、ほかにはあまりインパクトがないと思った。

隠し砦の三悪人
黒澤のリメイクだが黒澤らしさ、音楽や庶民好き?やそういう部分が新たな装いにならず、そのまま出てくるところが椿三十郎と同じでいまひとつ。役者や話は悪くないし絵はいかにも黒澤ライクで危なげがなく(そうならリメイクしなくてもいいかもしれない)、悪い映画ではない。ふーんなるほど、とは思えるが、黒澤監督が描きたかった世界を今の自分ならこう見せるといった趣向のほうが自分に合いそうだ。

アース
世界の自然を撮影する、1秒の絵に1年かけたくらいのすごい画面が出てくる。BBCらしく説教臭いコメントが最後につくが、まあそれは気にならない。絵は面白いところも多い。白熊のメスが2匹の子どもと巣穴から出てくるところが良かった。北極から南極までの旅をしてくれる。植物も出てくるが動物が見せ場が多い。ただ、なんというか意外に心に残る画面が少なかった。類似品を見すぎたのかもしれない。

アイアン・マン
漫画が原作とのこと。よくできた画像で特撮が良いし、アフガンの戦場シーンやゲリラ、村のイメージもリアル。しかし気に食わないのは、設定全体。兵器会社の天才二代目がMITを17歳で卒業し、エンジニアとして仕事しながら、一方である意味いいかげんに酒を飲みながら実務を先代のパートナーに任せてきた。しかしアフガンでゲリラが同じ自社商品を使っていることに気づいて(こんなことも考えにくいがブランドを大きく表示しているので)、心を入れ替え、戦争をとめるバトルスーツを作る。そういう改心の仕方や先代のパートナーの悪役ぶりがステレオタイプで、空を飛ぶメカのリアリティにも乏しい(それならスーパーマンくらい理屈抜きにしてほしい)。「続編を作ります」という終わり方も気に食わない。原作にも映画にも傲慢さを感じる。悪い意味でアメリカ的。

カンフーパンダ
アメリカ人の中国、カンフーへのイメージをそのまま漫画にしている上、主人公のパンダは要するに悪いアメリカ人(怠惰で太り、考えがなく直情的で、食べることが好きで目先のことしか考えない、みたいな)であるのに、そのままヒーローになれる。このくだらないレベルでのアメリカンドリームがどうも気に食わない。敵のほうはちょっとまし。もともと同じ師匠だったが守ってくれなかった、支持してくれなかったことで逆恨みした「弱さ」、怒りを逆手にとって強くなってしまった問題児であるところがよいキャラクター設定。ただ、あっけなくパンダに負けておしまい。パンダが食欲を利用して強くなるのは悪くないとはいえ、そんなのおかしいでしょ、っていう印象が残る。どこかで「気づき」があって自主的に変わっていかないといけないのでは。気づくのは「ラーメンのだしに秘密はない、だから秘密の空手の技もない」というあたりだけでは、ちょっとパンダがカンフーになるには不足がある。

僕の彼女はサイボーグ
SFとしては時間の概念がぐちゃぐちゃで、サイボーグが存在しなければその後の「彼女」の登場がありえないのに、それがあったこととしてサイボーグを作るという無限ループになっている。まあそれは良くある話で、うーん、とうなればすむことだ。サイボーグがだんだん精神的に育つように作ってあるため、最初のめちゃくちゃさに笑える。しかし要するに現在の日本の怖さ(交通事故、通り魔殺人、地震など)がどんどん出てきて、その辺がある意味本質的な部分。地震で失ったふるさと(神戸地震)を描いた後、東京が大震災に見舞われ本人が宝くじをあてて作らせたサイボーグは破壊される。しかし、その後自分がエンジニアになって作ることになるのだが(この辺はハインラインの「夏への扉」と似ている)。そして本当の人間の彼女は、男が死んだ後に生まれている。いろいろ考えてみると、現在とか存在とかめぐりあいとかを考えるヒントは豊か。地震の特撮は良くできているが、「あんなにほんとにそこらじゅうのビルが倒れる地震が想定されるのか?建物はそんなに弱いのか?」と思わせる。

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2 Comments:

Blogger kumamotokuma said...

出張? 最近、観たいと思う映画がなくてね。一応、近所のシネコンにどんな作品がかかっているのか気にしているんだけど。「サイボーグ」は「ドラえもん」なんだって? 

Tuesday, August 12, 2008 5:43:00 AM  
Blogger NK said...

今回の5本は個人旅行で。サイボーグは確かにドラえもんで、一種下敷きにすらなっているかもしれない。でもネコ型ロボットではなくて、きれいなおねぃさん。未来の自分が送り込んだという意味でドラえもん、ってことでしょうね。

あまり「観たい映画」にいかないので、常に与えられたものを観るんだけど、そのおかげであれこれ観るのかも。

Tuesday, September 02, 2008 3:26:00 PM  

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