だってBだから

へんなおじさんたちのブログ。

Saturday, September 13, 2008

海辺のカフカ、を読んだ(2)(NK)


ナカタさんも実は兵隊だった。ジョニー・ウォーカーは、兵隊は殺さねばならないと主張する。理由などない。そう命令される。ナカタさんは、結果として別に命令されて殺すのではないのだが、兵隊の説明はこのように「そう決まっているからそうする」ことの例として出てくる。

ジョニー・ウォーカーは、順序を大事にする。そう決まっているからそうする。手順どおりに行う。決まりが多い。自殺してはいけない。しかし飽きてしまった。だから死なねばならない。ナカタさんを挑発して息子に自分を殺させることになる。ナカタさんは誰か違う人になって殺し、あとになって15歳のなり代わりであることを知る。

空からアジとイワシが降ってくる件については、「黙示録的な光景」と書かれている。しかし「とてもおいしかった」とされる。TVピープルでTVが怖いところを見せている村上がTV報道について描く部分はこの事件そのものを描いていない可能性があるが、一部では聖書との関係を指摘されているそうだ。

ヒルの件は、「ウナギ=ナイフ=ジョニー・ウォーカー」の関係性をナカタさんが明示的に認識しているときに起こる。ナカタさんはこのときに意識的に悪事をとめようとする。

そもそも神話や聖書にはしばしばこのような事件が出てくる。出エジプトにおいては、ぶよとあぶの災禍、という逸話が出てくる。モーゼが杖で土を打つとその塵がぶよとなりエジプトの人や家畜を襲う。

ハギタさんは頭の良い運転手で、「ナカタはうなぎが好き」という「意見」を関係性と呼び、親子丼が好きであることを合わせると意味が生まれる、という。村上の小説の作り方そのものでもある。頭が良いとかそういうことではなくて、自分の目を使って見るということだとも言う。

書きかけ・・・ある意味パズルみたいな小説でもある。